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MT5の移動平均線クロス戦略の作り方

MT5で最初に作るEAとして、移動平均線クロス戦略はかなり優秀です。

ルールがシンプルで、ロジックを理解しやすく、バックテストや改善の流れも学びやすいからです。 ただし、シンプルなぶんレンジ相場ではダマシが増えます。なので、単体で完璧を狙うよりも「まず動くものを作って、あとからフィルターを足す」という順番が大切です。

この記事では、MT5で移動平均線クロス戦略を作る考え方から、EA化、検証、改善の流れまでを順番に整理します。

移動平均線クロス戦略とは

移動平均線クロス戦略は、短期移動平均線と長期移動平均線の交差を売買シグナルとして使う方法です。

  • ゴールデンクロス: 短期線が長期線を下から上に抜ける → 買い
  • デッドクロス: 短期線が長期線を上から下に抜ける → 売り

トレンド初動を狙いやすい一方、横ばい相場では逆シグナルが増えます。だからこそ、最初から「どの相場で使うか」を決めておくのが重要です。

まず決めるべき3つ

1. 時間足

最初は H1 か H4 がおすすめです。

  • M5〜M15: シグナルは多いがノイズも多い
  • H1〜H4: バランスが良く、検証しやすい
  • D1: シグナルは少ないが安定しやすい

2. MA期間

定番の組み合わせは以下です。

  • 5 / 20
  • 10 / 30
  • 20 / 50
  • 50 / 200

短期線を短くすると反応は早くなりますが、ダマシも増えます。長くすると遅くなりますが、ノイズは減りやすくなります。

3. 使う目的

移動平均線クロスは、基本的にトレンドフォロー向けです。

  • 上昇トレンドで押し目を拾う
  • 下降トレンドで戻り売りを狙う
  • レンジ相場では無理をしない

ここを決めずに作ると、あとで最適化が迷走しやすいです。

基本ルールの設計

まずは最小構成で作ります。

エントリー

  • 買い: 短期MAが長期MAを上抜けたら買う
  • 売り: 短期MAが長期MAを下抜けたら売る

決済

決済は以下のどれかを組み合わせるのが現実的です。

  • 反対クロスで決済
  • 固定損切り / 固定利確
  • ATRベースの損切り / 利確
  • トレーリングストップ

最初は「反対クロス + 固定損切り」で十分です。

EA化するときの考え方

EAにするときは、クロス判定だけでなく、注文の重複を防ぐ必要があります。

実装の流れ

  1. iMA で短期線と長期線を取得する
  2. 前の足と現在の足を比較する
  3. クロスを判定する
  4. 条件が揃ったら注文する
  5. すでにポジションがあるなら新規注文しない

クロス判定のイメージ

CrossLogic.mq5 mq5
// クロス判定の基本イメージ
if(fastMA[1] <= slowMA[1] && fastMA[0] > slowMA[0])
{
  // ゴールデンクロス
  // 買いエントリー
}

if(fastMA[1] >= slowMA[1] && fastMA[0] < slowMA[0])
{
  // デッドクロス
  // 売りエントリー
}

ポイントは、確定していない足で飛びつかないことです。実運用では、足確定後に判定した方が安定します。

フィルターを足すと安定しやすい

移動平均線クロス単体はシンプルですが、ダマシが増えやすいので、次のようなフィルターを入れると改善しやすいです。

1. トレンドフィルター

  • 価格が長期MAより上の時だけ買い
  • 価格が長期MAより下の時だけ売り

2. ボラティリティフィルター

  • ATRが一定以上の時だけエントリー
  • 低ボラのレンジを避ける

3. 時間帯フィルター

  • 指標発表前後を避ける
  • スプレッドが広がりやすい時間帯を避ける

4. 1ポジション制限

  • 同じ通貨ペアで複数ポジションを持たない
  • 過剰売買を防ぎやすい

バックテストで見る指標

EAは、感覚ではなく数字で判断します。

最低でも次を見ます。

  • 総損益
  • 勝率
  • PF(プロフィットファクター)
  • 最大ドローダウン
  • 取引回数
  • 連敗数

勝率だけ高くても、損切りが大きいと長期では負けやすいです。 逆に勝率が低くても、損益比が良ければ十分に運用できることがあります。

最適化のやり方

MT5のストラテジーテスターでは、パラメータ最適化ができます。

よく調整するのは以下です。

  • 短期MA期間
  • 長期MA期間
  • 損切り幅
  • 利確幅
  • ATR倍率
  • 取引時間帯

ただし、やりすぎると過剰最適化になります。

過剰最適化を避けるコツ

  • 期間を分けて試す
  • 通貨ペアを変えて再現性を見る
  • 複雑な条件を増やしすぎない
  • 最初はシンプルなルールで評価する

具体的な改善順序

おすすめの順番は次の通りです。

  1. 基本ルールを作る
  2. 足確定で判定する
  3. 損切りと利確を入れる
  4. トレンドフィルターを入れる
  5. ボラティリティフィルターを入れる
  6. 最後に最適化する

この順番にすると、どの改善が効いたのかが見えやすくなります。

ありがちな失敗

1. クロスした瞬間に即エントリーする

未確定足で判断すると、すぐに反転して負けやすいです。

2. レンジ相場でも同じルールを使う

クロスが連発して、往復ビンタになりやすいです。

3. パラメータを増やしすぎる

条件を増やしすぎると、どれが効いているのか分からなくなります。

4. バックテストだけで判断する

スプレッドやスリッページの影響は、実運用で効いてきます。デモ口座でも確認した方が安全です。

まとめ

MT5の移動平均線クロス戦略は、EA作成の入門として非常に扱いやすいテーマです。

  • H1 か H4 から始める
  • 確定足でクロス判定する
  • 損切り・利確・フィルターを段階的に足す
  • バックテストだけでなく再現性も確認する

シンプルな戦略ほど、設計と検証の差が結果に出ます。

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FXトレーダー・インジケーター開発者。MT5やTradingView向けのカスタムインジケーターを開発・販売しています。

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